2015年4月25日の講演会を振り返って

テーマ:女性刑務所における妊婦とその子どもへの支援、政策提言とその後 ~ 社会デザイン学の視点から
講演者:菊地栄(きくちさかえ)氏


 

4月25日、研修会では、29名の看護師や相談員が参加されました。講師である菊池栄氏は、出産育児環境研究会代表を務める出産育児支援研究の第一人者です。政策秘書時代に、「子ども」「人権」問題から刑務所内で妊娠期間中を過ごす妊婦や胎児の存在は見落とされてはいないかということに気づいたことから、専門である社会デザイン学の視点で刑務所内妊婦とその子どもの社会的支援について調査研究し、政策提言を行っているとのことです。今回の研修では、刑務所内で出産を迎える女性の支援の取り組みとして、助産師の役割に対する期待と専門家としての活動が可能になるための国の現実的・具体的な方策について、ご教示頂きました。菊池先生らの政策提言は、今や現実化されつつあります。妊婦/母親として「出生」を祝福されることは当然であり、また生まれてくる子どもには罪はなく、罪を負う立場でもない。研修を終え、看護者は対象者が誰であっても援助・ケアを行っていく、そのことを改めて考えさせられました。

さらに、本学会の意義・使命についても考えさせられる研修でした。フォレンジック看護の領域は広く、刑事施設内での看護の必要性や看護実践活動である矯正看護はその一つです。今回の研修で教示されました妊産婦への支援と再犯率との関係、妊娠期のケアの特徴とその子への影響等、看護者が看護実践から実践の成果というエビデンスを見いだすことは、国の政策的判断にも影響を与えることになるからです。このように貴重かつ大変感慨深い講演でもありました。改めまして菊池先生に、また刑事施設内の状況についてお答え頂きました法務省矯正局の大橋哲総務課長、刑務所内での実践体験を語ってくださった助産師の有馬美保さんにも感謝申し上げます。


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講師の菊池栄氏

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講演会風景


菊池さんの著書紹介

◆DVD付 みんなのお産―39人が語る「お産といのち」
719WPB5n1BL

 

*内容(「BOOK」データベースより):
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*単行本:126ページ
*出版社:現代書館(2014/06)